ダロン式!ロックでヒットをとばすための7つの方法

SOADFANSにおもしろいアーカイヴが上がっていたので、例のごとく簡単に訳してご紹介。昨年3月にポーランドのギター雑誌にて、Daron Malakianが作曲の極意について語ったものです。タイトルをムダに〈はてブ〉のホッテントリ狙いなかんじにしてみましたが気にしないでください。

1. 新境地を探せ、挑戦を怖れるな
最高のリフってのは、命綱を自ら手放したときに生まれるもんだ。SOADで奇妙な拍子を使ってリフを書いていたのは、それがおれにとってものすごく挑戦的なことだったから。本当のところ、おれは数学が苦手だし、音楽の技巧的なことなんてほとんど知らないんだけど。奇抜なメロディを考えるときだって、常に誰も思いつかないような方法を試してきた。今となっては、挑戦し続けるのもそれほど大変なことじゃあなくなったかな。Scars On Broadwayのアルバムを作り始めたときには、全ての楽曲に独特の雰囲気とメロディを持たせようとしたんだけど、そういうシンプルなことを実現させるのって、マジで大変なんだよ。


2. インスピレーションなんかいらない
曲に呼吸をさせること。あんまり曲にのめりこみすぎても、いいことなんかない。おれの人生のうち99.9%の時間は特にいいものを生み出せないまま過ぎていくんだけど、なんとなくギターを手にとって、いとも簡単にとてつもないメロディを生み出せる瞬間ってのが、あるときふと訪れるんだ。一体おれは何の影響を受けてこんなものを思いついたんだろう、ってのがよくわからないまま、新しい曲を書き終えてしまったりね。自然とそうなるもんだよ。Scarsのアルバムにも、未だに自分でよく理解できてない楽曲がいくつか入ってる。ただ書くだけ。それがおれのスタイルだ。


3. 全体像を捉えろ
リフを軸としてその周りに何を置くのか、曲の全体を構想するんだ。曲を作る上で、まずああして次にこうして、っていうレシピみたいなものを意識したことはない。リフ、ドラム、ヴォーカル、その他すべてのものが一気に降りてくる。キーボードのパートから曲を思いつくこともあるね。とにかく曲全体が頭の中にあるから、バンドの連中に曲を未完成のまま披露したこともないよ。


4. 原則を忘れろ
曲ってのは個性的でなければならない。実験を怖がるな。新しいものを発明しろ。Scarsのアルバムではギターとキーボードを使って作曲したんだけど、音楽的なルールなんでまるで気にしてない。ただやりたいようにやっただけだ。リフには味がなきゃいけない。だからといって複雑である必要もない。ストーンズの“Satisfaction”なんか、強烈な味があるのに、すごくイージーだろう?“They Say”のリフも同じで、シンプルで、音符はせいぜい3つか4つ、なおかつ完璧だ。ほかに何もいらない。


5. 過去の自分を繰り返すな
自分の曲がラジオで流れているとしよう。それを好きになれるか?SOADでは、全てのアルバムを違ったものにしようとしてきた。セルフ・パロディはやりたくないし、常に自分がラジオで聴きたいと思えるような曲を目指している。第2の“Aerials”を書いたりしようとは、絶対に思わない。



6. 不必要なソロを弾くな
お約束に則っただけのソロは要らない。おれにとって、曲はこどもみたいなもんで、そいつがソロを欲しがるときにだけ弾いてやることにしている。ただ自分が弾きたいから・・・なんて理由でソロをやるなよ。おれもソロを弾くのは大好きだし、やろうと思えばいつでもできるけど、全ての曲がソロを求めてるわけじゃない。ソロはいつも即興で弾いてる。自分で口ずさめるようなソロ・パートを作るのが好きでね。“They Say”のクレイジーなソロは最初にキーボードで弾いたんだけど、ドラム・マシンとベース・ラインを聴きながら、ただ鍵盤だけにのめりこんで生み出したものだよ。



7. バンドといっしょにプレイしろ
自分の曲は気に入ったか?そうしたらバンドでプレイしてみるんだ。きっと、さらによく鳴るはず。おれはいつも午前3時から6時ぐらいに曲を書く。この時間に最高の曲が降りてくる。Scarsのデモはドラムマシンを使って自宅で録ったから、すごくエレクトリックな感触だった。“They Say”なんかは、Sisters of Mercyの曲みたいでね。ダークでゴシックなかんじだったんだけど、バンドといっしょにプレイしてみたら、ガラッと変わったよ。だから家でデモを作っても、バンドに持ち込んだときにそれが全く別のものになるかもしれないということを忘れないように。

はい、というわけで大変参考になりませんでしたー!こういうのって大抵はそれができたら苦労しねえよ、ってかんじのものになりがちですが、なんつーか最たる例です。天才とバカは紙一重、一般的には「天才にもバカにも変人奇人が多い」みたいなニュアンスで使われがちなこの言葉を、おれはいつも「天才もバカも頭を使わない」という風に捉えるようにしておりまして、実際には天才とバカには頭を使わずに生み出したものが傑作かハナクソかという天と地を隔つ3万光年ぐらいの違いがあるわけですが、その話はまあさておき。でもダロンはかっこつけてこんなこと言っておきながら、実は一人で家にこもって必死に悩みに悩みぬいた末に曲をひねり出すような、ベートーヴェン型の悩める野郎だと思っています。なんとなく。